レポート|第2回森女×野地木材ワークショップ

テーマ『コンセプトメイキング』

下記の企業が考えるテーマ案から選んだテーマをもとにコンセプトづくりを進めるワークショップを行いました。

1.テーマ発表

端材ビジネスが2名、森林ツアーが3名でした。

「森林ツアー(原木市場ツアー)」
原木が製材市場から消費者に届くまでをみる
製材場さんと作戦会議も!

「0から製品を作るワークショップ(ツアー)」
・この製品がどこでできた木なのか?を知ることが大事!製品の元になる木のある森から見に行く。

「森林ツアー×終活」
・棺は日本産木材を使用(一般の棺桶は中国産が多く、生産地が意識されていない)
・日本人の信仰の原点である熊野の木を使うことでストーリーが生まれる
・日本の木材で最期送られたい!

「端材ビジネス」
・ふるさと納税返礼品に!
・参考:宮崎のぼけない君(30cmの板をビー玉ゲームの商品にして17年続いている)、道籠(竹材を竹灯籠に加工)
・何も需要がないところから生まれるのが端材ビジネスのいいところ

「端材を仕分けてお宝にするサービス」
・せっかく大事に育ててもらったのにクズになっちゃうのがやるせない……まとめると燃料にしかならないが、仕分けたら宝になるのでは?
・大きめな針葉樹材→薪セット
・小さい端材→初心者でも使える火起こしセット
・目の揃った材→出産手作りキット(乳歯やへその緒を保管できる。父親が作って母親にプレゼント)
・端材からスプーンなど作れるキット 

野地木材レビュー

・ストーリー性あるものと、端材を活用して利便性のあるものを作るアイデアが出てきた
・どこでも実現できるようなアイデアであれば、熊野の独自性をどうつけていくか?もポイント
・面白いがもう一捻り欲しい、製品化に向けてブラッシュアップを!
・「火起こしセット」製材所はまとめて燃やしちゃう。ちゃんと市場を調べてニーズのあるところに付加価値をつけて売るのは盲点だった
・「火起こしセット」は焚き火セットでもいけそう
・「終活棺桶」熊野という地域性を活かせそう。また、富裕層に響きそう。ビジネスとしてどれくらい展開がありそうか調べていたのが良かった
・「終活棺桶」は骨壷でもいいかも
・「出産セット」は終活棺桶のアイデアとつなげたらどうか?(生まれてから死ぬまで)

2.コンセプトを作るワーク

これからコンセプトを作っていくにあたり、まずコンセプト主導の考え方について紹介しました。ユーザー中心のデザインは課題を見つけて解決する手法で、コンセプト主導のデザインは理想的な未来を追求する手法です。

材料を一旦脇に置いて、誰にどんな価値を届けたいのか?理想的な未来とは?を追求することで発想を広げてみるワークに挑戦しました。ストーリーでコンセプトを語ることで、よりコンセプトを具体化しようという試みです。

まずはコンセプトの種を作るために、
①ご当地キーワード
②自分のキーワード
③野地木材から思いつくこと
の3つについて、それぞれ8個ずつ書き出していただきました。

  1. ご当地キーワード
  2. 自分のキーワード
  3. 野地木材から思いつくこと

これらのコンセプトのタネをもとに、誰に、いつ、どんなことをするのかやキャッチコピーなどを具現化するワークも行いました。

森女の皆さんが書き出している間には、野地さんから「最近塗装に力を入れている」というお話が。これまで木材に色をつけるのは邪道と思っていたが、見せ方が新たに増えることに気づいたそうです。

「邪道だと思っていたことがブレーキになる。言い方、見せ方、使い方、組み合わせ方ひとつで、ナシだったものがアリに変わる!」というお話は、これからのコンセプトメイキングの際にも重要な視点だと感じました。

3.物語のシェア

各自の具現化したコンセプトのタネを物語として語っていただきました。

・ビジョン:地域内外の人が関わりあって賑やかな社会に!
・端材を仕分けてダンボールに入れて販売!ストーリーがわかるチラシを同封。
・アウトドアショップやキャンプ場、登山くらいしか自然と関わりがない人が木を有効に使っていると実感できるようなもの
・ネットを通じていろんな人と繋がって、木を生き返らせる実感が持てるものを!
・例えば家族や友達と一緒に買うことで、野地さんの端材を通して繋がる
・宮嶋さんの関わり方:端材の使い方を紹介するチラシなど作成
・キャッチコピー:端材じゃないよ

・木材の良さをもっと知って欲しい!
・骨壷の代わりにずっと使えるコンパクトな木箱を。
・孫世代のために、思い出として忘れないもの、取っておけるものを。
・キャッチコピー:ボーンinウッドボックス〜森に抱かれて〜

・ビジョン:地域資産として森林を活かす
・「森林から原木市場をめぐるツアー」
・我が家を建てたい若い夫婦向け。
・原木から選ぶ人はいない(だいたい工務店にお願いする)が、おうちに人を呼んだ時にも紹介したくなる、子供にも伝えたくなる。愛着を持てるようになる
・キャッチコピー:その木どこの木?私の木
・原木の前に誰のかわかる札を立てる!どうやって原木が山から降ろされるかをみるようなツアーも。

・ビジョン:地域資産を守り活かす。日本木材の価値を高める
・キャッチコピー「死をポップに!」
・50代の終活を考えている熊野周辺に住んでいる方
・森歩き、工場見学、組み立てなどする(家族づれで来ていただく)
・自分の役割:営業する!終活フェスタに出店

・ビジョン:町や地域に誇りや愛着が持てる地域
・ツアーを組み込んだワークショップ
・会社に勧められた骨壷よりどこでできたかわかる骨壷がいい。
・自分の役割:三重県で活動!
・キャッチコピー「大切なものはここから」
・子供から大人まで活用することができるものを

野地木材フィードバック

・全体のサービスを作る中で、「誰のために」を考えてみて欲しい。その誰かがときめいて利用している、買っているところまで想像してコンセプトを作っていけると、より語れるようになる
・国産材は生産量が豊富ではないので、ユニクロのように全国民に使ってもらえるものではなく、「夜7時の女性」くらいまで限定的にやっていくほうがアイデアが生まれていくし、実際に商売にもつながる

また、森女の皆さんからは、時間が短くて難しかった!こんな風に思考を組み立てたことがなかったので難しかったが楽しかった!などの声が上がりました。

90分という短い時間内でなかなか大変だったと思いますが、これからアイデアを深めていくための入口が見えたのではないでしょうか。

次回の第3回ワークショップまでに
「ストーリーを簡潔にまとめて発表できるようにする」に向け準備を進めていきましょう!

レポート:坂井晃人